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助産師が解説!大阪でも公費で開始「妊産婦PCR検査」って一体なに?

こんにちは!
助産師のみづきです。

今日お話するのは「妊産婦さんにおけるPCR検査」について。
(書き始めるまでかなり勇気が必要でしたが、可能な限りフラットに偏りなく書いてみます)

今回のテーマ、「妊産婦さんにおけるPCR検査」についてメディアでは、〝厚生労働省は、出産間近の妊婦で希望する人には、国が費用を全額補助してPCR検査を実施する方針を決めました″

引用 https://www.nhk.or.jp/politics/articles/lastweek/37577.html

という報道もあり、私が助産を学んだ京都では自主的に下記のような事業が始まったようです。

「京都府では、安心・安全に出産を迎えていただくため、希望する全妊婦が、出産前の新型コロナウイルスへの感染の有無を確認するためのPCR検査を受けることができるよう、検査費用の助成制度を開始いたしました。」

引用 http://www.pref.kyoto.jp/kosodate/news/pcr-ninpu.html

さらに株式会社With Midwifeがある大阪府でも、2020年7月26日(月)より35週前後の妊婦さんに対して公費でのPCR検査が開始されました。

引用 http://www.pref.osaka.lg.jp/kenkozukuri/boshi/sougoushien.html

PCR検査を「症状が無い人や感染リスクの少ない人に無作為に行うことの是非」はいろいろいわれていますが、ここでは以下の点についてお話ししたいと思います。

  • 1)PCR検査ってなに
  • 2)感度と特異度
  • 3)妊婦さんの感染リスク
  • 4)妊婦さんはどう行動すべきか

1)PCR検査ってなに

 昨今よく耳にするPCR検査ですが、PCRとは、polymerase chain reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)の略語です。つまり今回であえば、コロナウイルスのポリメラーゼ(DNAやRNAというウイルスの遺伝子)を調べる検査です。

 検査方法は細長い綿棒のようなもので、鼻の奥の検体をとり、ある特殊な液体に検体を入れてウイルス遺伝子の特徴的な一部分を切り取り連鎖反応で増幅させる検査です。つまり、そこにウイルス遺伝子の特徴的な一部が出れば「PCR陽性」(新型コロナウイルスの遺伝子を持っている可能性がある)となります。

 PCR検査で行われている検査は他にも子宮頸がんの原因ウイルスのヒロパピローマウイルス、クラミジア、淋菌などがあります。

 しかし、PCR検査は「完璧ではない」ということを知っておかなくてはなりません。(正しくは、すべての検査には”限界がある”ということです)そこで身につけておきたい知識は「感度と特異度です」

2)感度と特異度

 感度と特異度は統計的な知識になり少し難しいです。今回に関しては、

・感度とは…新型コロナウイルス感染者にPCR検査をして「この人は新型コロナウイルス陽性です」とでる割合
・特異度とは…新型コロナウイルスに感染していない人にPCR検査をして「この人は新型コロナウイルス陰性です」とでる割合

と表すことができます。

 現在新型コロナウイルスのPCR検査の感度と特異度に関しては文献によって大きく数値が異なります。しかし、ここの数値によってみなさんに与えるインパクトがかなり違うので、ここでは大阪府が示しているように<新型コロナウイルスのPCR検査の感度は70%、特異度は99.9%>とします。

 再度いいますが<新型コロナウイルスのPCR検査の感度は70%、特異度は99.9%>ということはPCR検査の結果は完全なものではなく、PCR検査陽性=新型コロナウイルス感染者とは限らないし、PCR陰性者=新型コロナウイルス非感染者ではないということです。

◆シミュレーション(大阪府の試算)

 感染率0.1%、感度70%、特異度99.9%とすると、年間分娩件数65,000名の大阪府では、

全妊婦数検査した場合の大阪府の試算

となります。(動画の説明はこちら)
不思議ですね、感染リスクの低い人(症状が出ていない人)にまで検査をすることでこのような状況になってしまうのです。

3)妊婦さんの感染リスク

 現在各文献からも、大阪府のサイトからも、

・妊婦さんは他の人と比較して新型コロナウイルスに感染しやすいという事実はない
・妊婦さんは感染した場合に重篤化しやすいという文献もあるが明確ではない
・妊娠中の新型コロナウイルスの感染による赤ちゃんへの悪影響は報告されていない

とあります。

 もし、妊婦さんがPCR陽性≒(イコールではない)新型コロナウイルス陽性になったら、

・入院管理となる
・転院が必要になる(感染指定施設でない場合)
・分娩方法が帝王切開になる可能性がある(感染拡大の最小化)
・母児分離となる(赤ちゃんへの感染拡大防止のため)

また家族は

・家族や同居人もPCR検査対象となる
・濃厚接触した知人や友人も自宅待機・PCR検査対象となる
※どちらか一方がマスクなしで数分以上話した場合、PCR陽性者と会話をした方は濃厚接触者となります

また、残念ながら地方では特に風評被害に繋がるケースも多いようです。

4)妊婦さんはどう行動すべきか

 私も病院で勤めていて、実際に現場を見てきました。もちろん、新型コロナウイルスの感染兆候である

・発熱
・咳
・鼻水
・味覚障害
・嗅覚異常

などに当てはまったり、新型コロナウイルス感染者またはその疑いがある人と接したことがあるひとは検査すべきであると思います。しかし一方で、「ほとんど自宅で生活している」「症状はない」「不安にも感じていない」方が、正しい知識なく安易に検査を受けてしまうことには注意が必要だと感じます。

 妊婦さんのみなさんにはまず、
①感染リスクには注意すること(過度な心配は不要)
②正しい知識を得ること(メディアの情報のみを鵜呑みにしない)
③相談できる専門家を得ること(Meets the Midwifeではあなたに合った助産師を見つけられます) を推奨いたします。

 国からの妊婦へのPCR検査の補助について、各自治体が動いています。もちろん感染リスクが高い人や症状がある人にとっては公費でPCR検査を受けられることは必要です。症状が出ていたり濃厚接触者など、PCR検査が必要な人のみ検査をすることは、偽陽性者(非感染者だが、PCR陽性とでること)を減らすために有益です。しかし、リスクがない人にPCR検査をすることは偽陽性者を増やし、感染していないのに家族から隔離したり、帝王切開になったり、母児分離に繋がる可能性があります。

 このように伝えると、中には「症状があるけど風評被害怖いから検査しない」という方もいるかもしれません。ここが難しいところであり、私もこの記事を書くのに勇気が必要だった所以ですが、「正しい知識を得ること」はどんな方にも行動を改めるきっかけをギフトすると筆をとりました。自身に「リスクがある」と思う方は、検査を受けましょう。「リスクは少ない」と感じる方は、過度な不安を抱かないようにしましょう。

 できるだけ簡単な言葉でお伝えしましたが、正しく伝わったか心配です。気になることがあればいつでも相談してください。これから命を育むみなさんが、いつの時代も素敵な人と、望む妊娠・出産・育児ができることを心から祈っています。

 では、次のコラムでお会いしましょう。
本日もお読みいただきありがとうございました。
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