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妊娠糖尿病(GDM)と妊婦健診で言われたあなたへ〜産後編〜

こんにちは!福井県から、助産師のゆっきぃです。

前回は、妊娠糖尿病があっても、お産は経膣分娩できるということや、陣痛は40週6日まで自然陣痛を待つことができるということをお伝えしました。
また、お産の時には、お母さんの血糖を定期的に測定し、正常な範囲に維持することと、胎児心拍モニタリングで赤ちゃんの健康状態を連続して確認することが重要だということ、妊娠中の血糖コントロールが悪い場合は、様々な合併症が起こる可能性があるということをお伝えしました。

今回は、お産が済んでも妊娠中と同じ治療が必要なのか?ということや、お産後の日常生活で気をつけることはあるのか?ということ、また母乳を飲ませても良いのか?ということなどについて、助産師が分かりやすくお話していきたいと思います。

 1、お産がすんでも妊娠中と同じ治療が必要なのでしょうか?

産後は自分の血糖管理より、育児が優先になりがちですが、次回の妊娠に向け、また糖尿病合併症にならないよう、自己管理は続けましょう。
妊娠糖尿病の半数が、20〜30年後に糖尿病に移行したという報告があります。
また、早い人では、数ヶ月後に糖尿病に移行していた場合もあります。
怖いですね。
ですから、産後1〜3ヶ月後に、75g OGTTという検査で再診断し、それぞれの糖代謝異常の程度・型に合わせてフォローアップしていきます。

   ー妊娠糖尿病の産後のフォローアップー

糖尿病型糖尿病として管理(食事・運動・薬物療法)
境界型3〜6ヶ月毎の管理(食事・運動療法)
正常型1年毎のフォローアップ(食事・運動療法;健康維持目的として)

 たとえ正常化していても、定期的なフォローアップは非常に大切です。
特に糖尿病に移行しやすい人は、定期的に検査を受け、普段から体重管理に気をつけ、制限ではなく、健康維持目的として、食事・運動療法を続けると良いですね。

 ではまず、食事療法に関してご説明しますね。
授乳期間中は、普段(妊娠前)の摂取カロリーに、授乳のための追加カロリーとして、450kcal(ただし肥満の方は個別対応になります)程度増やします。
授乳が終われば、追加分を無くして、元の摂取カロリーに戻すようになります。

 続いて運動療法に関してですが、産科医師からの制限がなければ、今まで通り運動しても大丈夫です。
体調に合わせて行ってくださいね。

 薬物療法に関してもお伝えしますね。
出産後、インスリンの必要量は急激に減ります。
なぜなら、妊娠中は胎盤から分泌されるホルモンが、インスリンの働きを抑えたり胎盤でインスリンが分解されるために、インスリンの必要な量が増えていたのですが、出産後胎盤が出てしまうと、その影響を受けなくなるからです。

 ですから、出産前に必要だったインスリンの量をそのまま打つと、低血糖になりますので、出産直前に注射していた量の半分か2/3に減らすことが多いです。
ただ、個人差がありますので、血糖自己測定の値を見ながら調整していくことになります。
お産後も自己血糖測定が大事なのですね。

2、お産後の日常生活で気をつけることはありますか?

 自己血糖測定や、食事内容を気を付けていく必要があります。
一つずつご説明しますね。
まず自己血糖測定に関してですが、産後は、授乳後に低血糖を起こすことがあります。
授乳100mlで約80kcal消費されると言われています。
1日の授乳量から計算して、産後の1日の摂取カロリーを450kcal程度増やしますが、それでも低血糖になる可能性があります。
その場合は、インスリンの注射量を減らしたり、授乳前に補食をするようにします。
産後のお母さんは子育てで忙しいですが、自己血糖測定を適宜行い、重症低血糖や高血糖を起こさないように気をつけましょうね。

続いて食事内容についてご説明します。
カルシウムや鉄、ビタミンが不足しないようにするのは妊娠中と同じですが、さらに野菜・水分をよく取るようにすると良いですね。
根菜類や水分を摂取することで、乳汁分泌が促進されます。
また菜葉類は乳汁をサラサラにする効果があると言われています。

産後、血糖コントロールが不良になってしまうお母さんが多いようです。
それは妊娠中頑張りすぎた反動であったり、妊娠中の緊張が無くなったりするためと、子育ての忙しさのために自分の血糖コントロールを気にする余裕がなくなることも関係しているのかもしれません。
産後の新しい生活に慣れてきたら、もう一度ご自身の血糖コントロールや体重が、妊娠前のレベルに戻ったかどうかを確かめてくださいね。

3、母乳を飲ませても良いのですか?

 母乳は飲ませて大丈夫です。
授乳は、母親にも子どもにも糖尿病に良いことがわかっています。
それは、
1、授乳は2型糖尿病の発症予防につながる
2、1型糖尿病の発症率は、母乳を飲んでた子どもの方が低い
3、妊娠糖尿病だった女性では、授乳が糖尿病への進行を抑える
4、糖尿病の母親から生まれた子どもでは、母乳を飲んだ子の方が、肥満や糖尿病の発症が少ない
などの研究発表があることからもわかります。
インスリンは乳汁に移行しますが、飲んでも吸収されないので、赤ちゃんが低血糖を起こす心配はありません。
授乳にインスリンは何ら問題がないので、安心してくださいね。
また授乳前に超速効型や速効型インスリンを打つ場合は、低血糖を起こさないように単位数を減らさないといけないこともあります。
どのくらい減らすかは、授乳前後の血糖の変化がどの程度かを調べて、主治医に相談してくださいね。

 これらのことを注意して、できれば生後1年間は母乳を飲ませると良いですね。
授乳は栄養や免疫のこと以外にも、母子のスキンシップの点でも大変重要であることが近年見直されています。
しかしどうしても十分に出ないお母さんもいるので、そのような時は、助産師や小児科の先生とも相談してみましょうね。

 いかがでしたでしょうか?
今日は、産後1〜3ヶ月後に75gOGTTで再診断し、それぞれの糖代謝異常の程度・型に合わせてフォローアップしていくことをお伝えしました。
お産後も自己血糖測定が大事であることもお伝えしました。
またお産後の日常生活で気をつけることについてもお伝えしました。
そして、生後1年間はなるべく母乳を飲ませると良いこともお伝えしました。

ぜひその悩みを助産師に相談してください!
コラムの内容についてなど、相談したいことがありましたらお気軽に助産師へご相談ください。

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参考文献
1)糖尿病と妊娠に関するQ &A、日本糖尿病・妊娠学会
2)福井糖尿病療養指導担当者講習会教本第3版、福井糖尿病療養指導研究会編