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妊娠糖尿病(GDM)と妊婦健診で言われたあなたへ〜妊娠中の過ごし方編〜

こんにちは!
福井県から、助産師のゆっきぃです。
前回は、妊婦健診で「妊娠糖尿病」と言われて不安な妊婦さんを対象に、妊娠糖尿病ってそもそもどんな病気なの?ということや、妊娠糖尿病はどのようにして診断されるの?またどうして妊娠糖尿病は起こるの?ということなどについて、お話しました。

今回は、それを踏まえて、妊娠糖尿病になると、お母さんや赤ちゃんにどのような影響が出るのかということや、診断されたらどんな治療を行っていくの?ということなどについて、助産師が分かりやすくお話していきたいと思います。

1、妊娠中に高血糖が続くと、お母さんや赤ちゃんにどのような影響が出るの?

お母さんのインスリンの分泌や働きが悪いと、血糖が高くなります。
血液中のブドウ糖は胎盤を通っておなかの赤ちゃんに運ばれますが、インスリンは通れないので、赤ちゃんの膵臓から分泌して調節しています。
インスリンは成長因子なので、多すぎると赤ちゃんが成長しすぎて巨大児になったり、生まれた赤ちゃんにいろいろな合併症を引き起こします。

赤ちゃんの器官は、妊娠4週ごろから作られ始めるので、お母さんの妊娠初期の血糖が高いと先天奇形が起こりやすくなります。
その種類は色々な器官(中枢神経系・骨格系・心血管系・腎尿路系・消化器系・その他(耳や口の異常))でおこる可能性があります。
この他に、お母さんが妊娠中にケトアシドーシスを起こしたり、流産・早産を起こしたり、妊娠高血圧症候群(以前の妊娠中毒症)になったり、羊水過多症や尿路感染症を起こしたりすることもあります。

2、診断されたら定期検査と自己血糖測定をしよう!

これらお母さんや赤ちゃんの合併症を予防するために、妊娠中の管理目標値を保つようにしましょう。

−妊娠中の血糖管理目標値−
○食前血糖値    70〜100mg/dl
○食後1時間の血糖値  <140mg/dl
○食後2時間の血糖値  <120mg/dl
○Hb A1c                           5.0%前後
○グリコアルブミン  15.0%前後

そのためには、簡易の血糖測定器を用いて、自宅で血糖を測定し、1日の血糖の変動値を見ながら治療内容を変更することが大切です。
食後は、2時間後が多いですが、1時間後の場合もあります。
低血糖症状のある時や、症状がなくても、低血糖を起こしやすい夜間2〜3時頃も時々測定しましょう。
回数は必要に応じ、3回/日(毎食後)、4回/日(朝食前・毎食後)、7回/日(毎食前後、就寝前)など異なりますので、主治医の先生に相談しましょう。
外来では定期的にHb A1cやグリコアルブミンも測定します。

3、食事のとり方は?

妊娠中の食事療法の特徴は、妊娠週数で変わる付加量と、分割食です。
○エネルギー量
非妊娠時の【標準体重×30kcal/kg】に、妊娠中・授乳中に必要な量を加えます。追加のエネルギー量は以下のとおりです。

○分割食
1日3回食でコントロールできない場合、5〜6回に分割します。
①3食それぞれを2:1に分ける
②1日量が1600kcalの場合、1200kcal +5単位に分け、食間に1・2・2単位摂取する。※1単位=80kcal

4、注意しながら運動もしよう!

妊娠中の運動は色々な効果があります。
運動療法の効果には、基礎代謝を高め血糖コントロールを改善する、妊娠期間中を快適に過ごすことでストレス解消や気分転換になる、足腰が筋力アップし、分娩時に必要な筋力・体力の強化になる、全身、特に骨盤内の血流改善、腰痛・肩こり解消、運動不足の解消・肥満予防などが挙げられます。

運動するときの注意点ですが、運動療法を行う前に、医師によるチェック(内科・産科・整形外科など)を必ず受けて、OKが出てから実施してください。
そして運動前後には、血圧・脈拍、また血糖を測定するとよいでしょう。
運動後は水分を十分に取りましょう。
インスリン注射をしている場合は、低血糖に注意が必要です。
必要に応じ、1〜2単位補食を摂り、ブドウ糖・ジュースなどを携帯します。
これは低血糖症状が出たときのための対策です。

体調が悪い時には、運動は行わないで様子をみましょう。
もし運動中気分が悪くなったらすぐに中止しましょう。
妊娠5ヶ月以降は、あお向けでの運動は避けてくださいね。

5、お薬の使い方は?

飲み薬(経口血糖降下薬)は、胎盤を通って赤ちゃんに運ばれ、低血糖を起こす恐れがあるので、インスリンに変え投薬をします。
インスリン注射は、1日4〜5回の頻回注射をすることが多いですが、ペン型の頻回注射での管理が難しいときは、インスリンポンプ(持続皮下インスリン注入療法)を開始する場合もあります。
妊娠中と産後ではインスリン必要量が大きく変化しますので、血糖自己測定の値を見ながらインスリン注射量を変更していきます。
妊娠中・産後のインスリン必要量の変化ですが、妊娠初期には、お腹の中の赤ちゃんがブドウ糖を利用し始めたり、つわりにより食事量が減ったり、母親としての自覚を持ち、食事療法を守るようになる事から、インスリン必要量が減ります。
妊娠中期になると、胎盤からインスリンの働きを抑えるホルモンが分泌されるため、インスリンの必要量が徐々に増えます。
そして産後は胎盤が出るため、インスリンの働きを抑えるホルモンが突然無くなり、インスリンの必要量も突然減ります。
人のからだってすごいですね。

いかがでしたでしょうか?
今日は、妊娠糖尿病と診断されると、日々の食事療法と運動療法が大切ということについてお話しました。
そして必要に応じてインスリン療法も必要になります。
3つの療法のベースとなるのが、毎日の自己血糖測定です。
しっかりと行っていくことが大切ですので、面倒…と思うかもしれませんが頑張ってくださいね。
妊娠中の栄養のことなど、ぜひその悩みを助産師に相談してください!
またコラムの内容についてなど、相談したいことがありましたらお気軽に助産師へご相談ください。

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参考文献
1)糖尿病と妊娠に関するQ &A、日本糖尿病・妊娠学会
2)福井糖尿病療養指導担当者講習会教本第3版、福井糖尿病療養指導研究会編