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子宮頸がんが赤ちゃんにまで影響する!?

こんにちは!福井県から、助産師のゆっきぃです。

1月7日、母親の子宮頸がんが子どもに移行するという衝撃的なニュースが、世界初、国立がんセンターより発表されました。

 「母の子宮頸がん、子に移行 羊水に混入、肺がんに 世界初・国立がん研究センター

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6381485

母親の子宮頸がんが、出産時に羊水に混入し、誕生直後の赤ちゃんが初めて泣いた際に、この羊水を吸い込んで肺がんを発症した例が見つかったということです。
このショッキングな研究成果は、国立がん研究センターなどの研究チームが「世界初」の例として、2021年1月7日に発表し、論文米医学誌The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE電子版に掲載されました。

論文を少しご紹介!

 この論文では、2名の小児がん患者の肺がんが、母親の子宮頸がんの移行により起こったことが明らかにされました。
肺がんを発症したのはいづれも男の子で、出産の時に初めて泣いた際に、母親子宮頸がんのがん細胞が混じった羊水を吸い込むことによって、母親の子宮頸がんのがん細胞が肺に移行したことが明らかになりました。

 一方ニボルマブ(免疫チェックポイント阻害薬)という薬を投与された1名の小児がん患者ではがんが消失するなど、劇的効果も示されました。
ニボルマブは免疫チェックポイント阻害剤と呼ばれる薬剤で、がん細胞に対する免疫細胞の攻撃を強めることによって、がん細胞を攻撃し減少させます。
母親由来の細胞は、子にとって自分の細胞ではないことから、子の免疫細胞によって異物と認識されます。 
幸い、今回の小児がん患者においては、がん細胞が本人ではなく母親由来であったため、子どもの免疫細胞ががん細胞を異物として認識して、免疫応答が高まったと考えられます。
とはいえ、母親の子宮頸がんが赤ちゃんに影響することが明らかになったことで、今後、母親の子宮頸がんを予防することが母親由来のがんをこどもへ移さないことに繋がり、がん細胞の移行の防止につながることが期待されます。

1、 そもそも子宮頸がんってなに?

 子宮頸がんは、年間約1万人が罹患し、約2800人が死亡しており、患者数・死亡数ともに近年漸増傾向にあります。
特に、他の年齢層に比較して、50歳未満の若い世代での罹患の増加が問題となっています。
そして子宮頸がんの95%以上は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因です。
子宮頸部に感染するHPVの感染経路は、主に性的接触と考えられます。
HPVはごくありふれたウイルスで、性交渉の経験がある女性のうち、50〜80%は、HPVに感染していると推計されます。
そしてそのうち一部の女性が、将来、高度前がん病変や子宮頸がんを発症することになります。
HPVに感染してから、子宮頸がんに進行するまでの期間は、数年から数十年と考えられます。
発がん性HPVの中で、HPV16型、HPV18型は特に前がん病変や子宮頸がんへ進行する頻度が高く、スピードが速いと言われています。
しかし、実はHPV16型、HPV18型の感染は、HPVワクチンによって防ぐことができるのです。
つまり、子宮頸がんはワクチンで防げるがんなのです。
このように、子宮頸がんでは、原因であるHPVに感染しないようにすること(1次予防)、がん検診によるスクリーニングでがんを早期発見・早期治療し、結果的に子宮頸がんによる死亡を予防すること(2次予防)ができます。
子宮頸がんは最も予防しやすいがんであり、がん予防の知識が大切となる病気です。

2、 HPVワクチン…本当に危ないの?

 国内で承認されているHPVワクチンは、2価と4価の2種類があります。
またシルガード9という9価のワクチンももう少しで市場に出回ります。
「価」とは沢山あるHPVのうち何種類に対応するワクチンかということです。
またこれらのワクチンは、HPVの感染を予防するもので、すでにHP Vに感染している細胞からHPV を排除する効果は認められていません。
したがって、初めての性交渉を経験する前に接種することが最も効果的です。HPVワクチンは接種により、注射部位の一時的な痛み・腫れなどの局所症状は約8割の方に生じるとされています。
また、注射時の痛みや不安のため失神(迷走神経反射)を起こした事例が報告されていますが、これらについては接種直後30分程度安静にすることで対応が可能です。

 HPVワクチンに関しては多くのメディアでエビデンスのない危険性が報道されましたが、すでにそのリスクについては否定されており、怖いワクチンではありません。
平成29年11月の厚生労働省専門部会においても、慢性の痛みや運動機能の障害など、HPVワクチン接種後に報告された多様な症状と、HPVワクチンとの因果関係を示す根拠は報告されておらず、これらは機能性身体症状と考えられるとの見解が発表されています。

3、HPVワクチン接種したい!と思ったら

 HPVワクチンは、平成25年4月に予防接種法に基づき定期接種化されました。
現在、自治体から接種対象者に個別に接種を勧めるような積極的勧奨は中断されていますが、定期接種としての位置付けに変化はなく、公費助成による接種は可能です。
また、お住まいの自治体の定期接種ワクチンの担当部署に問い合わせることもできます。
万一、接種後に重篤な有害事象が発生した場合は、予防接種法に基づく救済制度の申請は可能で、因果関係などの審査ののち、必要な補償が受けられる場合もあります。

子宮頸がんワクチンについて書いたコラムはよければこちらもご覧ください

いかがでしたでしょうか?
すこし難しい内容でしたが、大切なことなのでしっかりとお伝えさせていただきました。
何より重要なのは、子宮頸がんは予防でき、すでにHPVワクチンがあるということではないでしょうか?
実は日本の接種率は1%未満ですが、海外ではほとんどが50%以上接種しており、100%に近い国もあります。
HPVワクチンは小学6年生から高校1年生までに接種することで、9割の子宮頸がんが予防されます。
子宮頸がんやHPVワクチンについてもっと知りたい方はこちらもご参照ください。

みんパピ!

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参考文献;

1) 母親の子宮頸がんが子どもに移行する現象を発見、国立がん研究センター2)子宮頸がんとHPVワクチンに関する最新の知識と正しい理解のために、日本産婦人科学会