社会課題に取り組む姿勢に影響を受け、僕たちも背負いたいものが大きくなりました

株式会社NASU 代表取締役社長
前田 高志

今回のリレーションシップは、株式会社NASU 代表取締役 前田高志さんです。一緒にWith Midwifeのコーポレートデザインを進めているからこそ、今までもいろんな話をしてきました。しかし改めて私たちの印象やこれまでを振り返ると新しい気づきや感慨深いストーリーがありました。今回のインタビュアーは岸畑です。

プラダをきた悪魔みたいに、頑張っている人を応援したくなった

岸畑:最初に、前田さんと話をした時とても緊張しました。その時、モノクロで横向きのプロフィール写真を使われていたので。今とは、全然印象が違いますね。

前田さん:あー、あの写真は「巨匠」がテーマだったんですよ。でもそう思ってくれてたなら、イメージをデザインできてましたね。

岸畑:はい、プロフィール写真を使い分けているとは、さすがです。ちなみに最初に前田さんにお願いしたのは、性教育ボードゲーム「Genie(ジニー)」のデザインでした。いつもNASUには仕事待ちの行列ができているのに、あの時は即答でお仕事をお受けいただけたのはなぜでしょうか?

前田さん:あの時、僕らを紹介してくれた飛田くん(株式会社 NEXERA 代表取締役)と恵比寿横丁で飲んでいて、少し酔っ払ってたんですよ(笑)。

岸畑:やっぱり(笑)。あの時は言えませんでしたが、酔っ払って…ましたよね!!酔っ払っていたからOKしたんですか?

前田さん:そうそう…、っていうのは、冗談で。マジな話をすると、映画で『プラダを着た悪魔』ってあるじゃないですか? 僕、あの映画が大好きなんですよ。あんな風に頑張っている人を応援したくなる。『マイ・インターン』もいいですよね。岸畑さんの性教育のボードゲームへの思いや、デザインへの真っ直ぐな気持ちのいい意味でガツガツした感じが普通じゃなかった。岸畑さんの真っ直ぐな思いが伝わってきたからです。

岸畑:なるほど。確かにすごい熱量で話しました(笑)。

前田さん:岸畑さんみたいに真っ直ぐでガツガツした人ってあまりいないから、印象的でした。それと、僕自身も不妊治療とは無縁ではない過去があったので、そのとき自分が性教育に関して無知であることを感じていたんです。だからこそ、性教育にまつわる社会課題を自分ごととして考えることができました。

岸畑:性教育は、なかなか自分ごと化されない中で、前田さんが興味を持ってくれた理由はそこでしたか。この時、共感していただけたからこそ、今の私たちの取り組みがあるわけですね。

魂を擦り合わせながら、共に必死になって前に進む。

前田さん:Genieは、本当に制作時間が短いプロジェクトでしたよね。最初に話をして、その翌月くらいには、クラウドファンディングをはじめるとか。まだ中身も決まってなかったのに。すごいスピード感でした。

岸畑:はい。本当に不躾なお願いでしたよね(笑)。あの時、まだ私たちの関係性も浅くて前田さんのすごさがわかりきってなかったんですよね。今では…あんなオーダーはできないです(笑)。Genie以降も、いろんな取り組みをしてきましたよね。

前田さん:そうですね、Genieの時もそうですけど、岸畑さんたちとは「魂を擦り合わせてるな」っていう表現がしっくりくるくらい密にやりとりしていますよね。全ての仕事相手とこの距離感になれるわけではありませんから。With Midwifeさんのコーポレートロゴをリニューアルさせていただいた際、まずはじめに「コンセプトワーク」というものをやったんですが、御社はみなさんが参加してくださいました。「一緒に作るってこういうことなんだな」とすごい熱量を感じましたよ。

岸畑:ありがとうございます。熱量がある分、NASUのみなさんもめちゃくちゃエネルギーを使うと思うんです。でもどうして私たちと一緒にここまで、共に必死になってくれるんですか?

前田さん:それは、With Midwifeさんたちが、情熱を持っている人たちだから共鳴して僕たちも必死になるんです。こちらが一方的にそうしようとしても、うまくいきませんよ。

岸畑:なるほど。実際1年半ほどご一緒してWith Midwifeの印象はどうでした?

前田さん:寄り添い方がすごいです。やっぱり「寄り添う」をバリューにしてるだけあるなと。そしてみんな一生懸命で頑張っている。NASUよりも後にできた会社なのに、NASUよりも少し大人な会社のように見えています。僕からみたら、見習うところがたくさんあります。会社として、チームとして、憧れるところが多いんですよ。

岸畑:えー!(驚)光栄です。最近では、前田さんとは、経営者としての話をするようになりましたよね。

社会と戦うWith Midwifeを身近でみているからこそ、背負いたいと思うものが大きくなった。

岸畑:With MidwifeとNASUさんは規模感も似ているし、NASUさんは「日本のお茶の間にデザインを届ける」と言っていて、私たちも「助産師を日常に戻したい」と考えていて、業界は違えど、やろうとしていることは似てると感じています。だから前田さんから学ぶことが多いんです。

前田さん:ありがとうございます。「日本に〜」と思い始めたのは、つい最近ですけどね。数年前までは、本当に自分だけが楽しく良いデザインをすればいいと思っていました。でも次第にチームが大きくなって、「日本のお茶の間にデザインの力を届けられる」んじゃないかな?と思い始めました。じわじわと気持ちの変化や覚悟が芽生えたというか。それこそ岸畑さんたちを見てる影響も大きいですよ。だって国と事業やったり、社会と戦っているじゃないですか。岸畑さんや薬局のあり方を変えようとしている服部さん(GOOD AID株式会社 代表取締役)とデザインを通して関わって身近に見ているからこそ、なんか感化されてますね。

岸畑:それは嬉しいです。確かに、NASUを通じて紹介していただいた服部さんもそうですけど社会と戦ってますよね。でもきっと前田さんも、今も昔もやっていることは変わらなくて、初期からビジョンを見ていたか、継続の先にビジョンが見えたかの違いですよね。視座の高さは同じだと思っています。

前田さん:いやー、絶対影響受けてますよ。そういう、視座の高さとか。僕はただ、楽しく生きられればいいと思っていたので。高い視座を持った人が周りにいることで影響を受けていると思います。だから、僕もデザインを日本のお茶の間に届けたいと、デザイン業界を背負うようになりました。

一番いい関係性はお互い叱れること。そうして生まれる勝てるデザイン、めざすは…

岸畑:今はまだ代表同士、つまり前田さんと私のリレーションシップが濃いように感じています。しかし、今後はWith MidwifeのチームとNASUさんのチームがもっと深く関われたらと思っています。

前田さん:そうですね。お互い叱れるっていうか、一番いい関係性ってそこなんですよね。クライアントに叱れるデザイナー。こっちから「このロゴの使い方はだめですよ」とか言える関係性がいいですよね。逆に、「これをめざしているけどまだ足りていないです」とか言ってもらったり。そんな関係性が理想ですよね。

岸畑:確かに、チーム同士で愛のあるフィードバックをしあえるのは理想ですよね。私たちも素人なので、NASUさんから見てこっちがいいということもあるだろうし、いただいたデザインの使用方法を間違えてしまうこともあると思います。そういう時に、本当にWith Midwifeが成長するために最適なデザインをフラットに指摘してもらえると助かります。

前田さん:そういった関係性をめざしていきたいですね。そうだ、With Midwifeさんは、上場するんでしたっけ?!

岸畑:え、そうですね!(笑)数字を追いかけることを目指している訳ではないですが。

前田さん:もちろんです。でも、上場するってことは、社会に助産師が認められたということなので。現代に認められたということ。NASUとしてはまずそこまでは、応援したいですね。

岸畑:上場は、助産師の可能性を可視化するために必要な通過点だと思っています。

前田さん:そうですね。一緒に上場までいきましょう!

岸畑:ありがとうございます。今日新たな、共にめざす目標がきまりましたね。もちろん上場以降もですが、まずは上場をひとつのマイルストーンとしてこれからもよきリレーションシップをお願いします。

前田さん:こちらこそ、お願いします。

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